特集は「自衛隊とブラック企業」
2015年、ついに「安保法制」が成立した。
この法制の成立過程や内容の賛否については、本誌では 深入りしない。
だが「軍隊」が存在する以上、労働や貧困の問題は不可避 的に存在する。海外派遣が進めば、その問題はさらに剥き出しになるだろう。
反戦運動に参加する人たちにとっても、自衛隊の活動を 推進する人たちにとっても、 足元にあるこのテーマは、見 落とされがちだったのではないだろうか。
そこで本特集では、あくまで労働・貧困問題という視点 に限定しつつ、 「ポスト安保法制の労働」に多角的なアプ ローチを試みた。
安保法制や自衛隊の海外派遣を議論する前提として、 それらに反対の人にも賛成の人にも、ぜひ読んでほしい。
◆新連載
150 文化と社会 第1回 「オンナ」たちの傷の否認を超えて
―崎山多美「見えないマチからションカネーが」を中心に
佐喜真彩(一橋大学大学院博士後期課程在籍)
◆特集 「自衛隊とブラック企業 ポスト安保法制の労働」
008 15分でわかる安保と労働
本誌編集部
013 自衛隊は安保法制に耐えられない
―海外派遣で深刻化する労働問題
布施祐仁(ジャーナリスト)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
026 自衛隊のセクハラ・パワハラ訴訟から問う軍隊の「民主的統制」の可能性
佐藤博文(弁護士)
041 元自衛官に聞く自衛隊のブラックな労働環境
―いじめ、暴力、うつ病の蔓延と隠蔽の構造
木下武男(元昭和女子大学教授)×
郡司榮晟(元自衛官)×清水敦司(元自衛官)
056 安保法制は基地労働をどう変えるか
―米軍戦略に左右される基地労働と労働組合の取組み
紺谷智弘(全駐留軍労働組合中央本部書記長)
067 企業・行政における自衛隊研修の実態
本誌編集部
076 学校への軍事的侵略
―下級予備役将校訓練課程(JROTC)の役割について
シルビア・マクガーリー(米オレゴン州立レイノルズ高校社会科教員)
084 『アメリカン・スナイパー』と『キャプテン・アメリカ』が描く帰還兵のPTSD問題
錦織史朗(大学院生)
◆単発
092 民主主義を「足元」から考える―「日常」と「政治」をつなぐ知性
高橋源一郎(作家・明治学院大学教授)×藤田孝典(NPO法人ほっとプラス
代表理事)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
103 ブラック企業「アリさんマークの引越社」の実態と
ユニオンによる改善の取り組み
清水直子(プレカリアートユニオン執行委員長)
117 若者の過労死を繰り返さないために―渡辺航太さん過労事故死事件
から考える「求人詐欺」問題と若者の雇用対策のいま
渡辺淳子(過労事故死裁判原告)×寺西笑子(全国過労死を考える家族の会
代表)×川岸卓哉(弁護士)×上西充子(法政大学教授)
128 労働者派遣法「改正」で何が変わったのか
塩見卓也(弁護士)
211 高校教員とユニオンの連携が解決したブラックバイト
―高校生のブラックバイト問題に取り組むために
ブラックバイトユニオン スタッフ
◆連載
136 西洋解雇規制事情 〔第漆回〕 解雇規制の「国際比較」編
神林龍(一橋大学経済研究所教授)
163 貧困の現場から社会を変える 最終回
稲葉剛(NPO 法人自立生活サポートセンター・もやい理事)×
藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表理事)
176 いまどきの大学生 第3回
本誌編集部
178 社会学居酒屋談義 第5夜 近代 社会学の誕生 階層
仁平典宏(東京大学大学院教育学研究科准教授)
198 知られざる労働事件ファイル No.2
個別指導塾のブラックバイト事件を解決したユニオンの取組み
山崎武央(にいがた青年ユニオン執行委員長)
204 ブラック企業のリアル vol.14 和食料理店
215 若者の貧困のリアル vol.3 当事者を悩ませ続ける生活保護制度の運用実態
222 労働問題NEWS vol.3 女性活躍推進法/介護虐待事件
本誌編集部
224 ブラック企業対策のいま #03 教育・就職ユニット
227 京都POSSEノート 第7頁 労働法教育
遠藤めぐみ(京都POSSE事務局)
228 労働と思想29 フーコー―『処罰社会』と規律権力、国家装置
佐藤嘉幸(筑波大学人文社会系准教授)
242 ともに挑む、ユニオン 団交 file.10「退職時の嫌がらせ」と「上手な退職の仕方」
北出茂(地域労組おおさか青年部)