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〔通常版〕nyx叢書003『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝 』

3,850円

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詳細 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909237408 2018年度ドイッチャー記念賞(Deutscher Memorial Prize)を日本人初、最年少受賞。期待の俊英による受賞作邦訳増補改訂版。資本主義批判と環境批判の融合から生まれる持続可能なポスト・キャピタリズムへの思考、21世紀に不可欠な理論的参照軸として復権するマルクス研究。 マルクスのエコロジー論が経済学批判において体系的・包括的に論じられる重要なテーマであると明かし、またマルクス研究としてだけでなく、資本主義批判、環境問題のアクチュアルな理論として世界で大きな評価を獲得。 グローバルな活躍をみせる著者による日本初の単著です。 ─推薦!───────────────────── スラヴォイ・ジジェク 斎藤幸平のKarl Marx’s Ecosocialism(『大洪水の前に』の英語版)は自然の中に埋め込まれた人間を考えるための最も一貫した最新の試みだ。 マイケル・ハート(デューク大学) 気候変動とグローバルな環境危機に対峙しようと決意するなら、資本の批判が必ずや中心的課題になることが今日ますますはっきりとするようになるなかで、より多くの研究者や活動家たちが環境問題にたいしてマルクス主義のアプローチを採用するようになっている。この素晴らしい本によって、斎藤幸平はエコロジカルな資本批判というプロジェクトのために多大な貢献を成し遂げているが、それは、マルクス自身が経済学批判をその生涯にわたる、体系的なエコロジカルな分析に結びつけていたことを示しているからである。この惑星を大洪水から救いたいなら、もう一度マルクスに立ち返り、マルクスを読み返さなくてはならない。 ────────────────────── ※ドイツ語版 »Natur gegen Kapital: Marx' Ökologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus«, Campus, 2016 ※英語版 »Karl Marx’s Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy«, Monthly Review Press, 2017 ※韓国語版 <마르크스의 생태사회주의> 추선영訳, Secondthesis, 2020 目次 はじめに 第一部 経済学批判とエコロジー  第一章 労働の疎外から自然の疎外へ  第二章 物質代謝論の系譜学 第二部 『資本論』と物質代謝の亀裂  第三章 物質代謝論としての『資本論』  第四章 近代農業批判と抜粋ノート 第三部 晩期マルクスの物質代謝論へ  第五章 エコロジーノートと物質代謝論の新地平  第六章 利潤、弾力性、自然  第七章 マルクスとエンゲルスの知的関係とエコロジー おわりに マルクスへ帰れ 前書きなど  《略》二一世紀に入ってからマルクスのエコロジーは深刻な環境危機を前にラディカルな左派環境運動によって再び注目されるようになっている。新自由主義的グローバル資本主義が「歴史の終焉」(フクヤマ 2005)を掲げて世界を包み込んだ結果、「文明の終焉」という不測の形で惑星規模の環境危機をもたらしたことで、マルクスの有名な警告がいま再び現実味を帯びるようになっているのだ。 自分をとり巻く労働者世代の苦悩を否認するためのあんなに「十分な理由」をもっている資本は、その実際の運動において、人類の将来の退廃や結局は食い止めることができない人口減少という予想によっては少しも左右されないのであって、それは地球が太陽に落下するかもしれないということによって少しも左右されないのと同じことである。どんな株式投機の場合でも、いつかは雷が落ちるにちがいないということは誰でも知っているのであるが、しかし、誰もが望んでいるのは、自分が黄金の雨を受けとめて安全な場所に運んでから雷が隣人の頭に落ちるということである。大洪水よ、我が亡き後に来たれ! これが、すべての資本家、すべての資本家種族のスローガンである。(MEGA II/6: 273)  ここで直接論じられているのは、労働者の酷使によって彼らの健康や寿命が犠牲になることについて資本がまったく顧慮を払わないという問題である。だが、引用中に出てくる「人口減少」を「気温上昇」や「海面上昇」に置き換えたとしてもなんら違和感がないだろう。実際以下で詳しく見るように、マルクス自身も自然の「掠奪・濫用(Raub)」を労働力の掠奪と同じように問題視し、物質代謝の亀裂として批判していたのである。  残念なことに、「大洪水よ、我が亡き後に来たれ!」という態度は、グローバルな環境危機の時代において、ますます支配的になりつつある。将来のことなど気にかけずに浪費を続ける資本主義社会に生きるわれわれは大洪水がやってくることを知りながらも、一向にみずからの態度を改める気配がない。とりわけ、一%の富裕層は自分たちだけは生き残るための対策に向けて資金を蓄えているし、技術開発にも余念がない。  だが、これは単なる個人のモラルに還元できる問題ではなく、むしろ、社会構造的問題である。それゆえ、世界規模の物質代謝の亀裂を修復しようとするなら、その試みは資本の価値増殖の論理と抵触せずにはいない。いまや、「大洪水」という破局がすべてを変えてしまうのを防ごうとするあらゆる取り組みが資本主義との対峙なしに実現されないことは明らかである。つまり、大洪水がやってくる前に「私たちはすべてを変えなくてはならない」(Klein 2014)。だからこそ、資本主義批判と環境批判を融合し、持続可能なポストキャピタリズムを構想したマルクスは不可欠な理論的参照軸として二一世紀に復権しようとしているのだ。 (本書「はじめに」より) 著者プロフィール 斎藤幸平 (著/文) 1987年生まれ。大阪市立大学経済学研究科准教授。 日本MEGA編集委員会編集委員。 著書にNatur gegen Kapital: Marx' Ökologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus, Campus, 2016 共著に『労働と思想』(堀之内出版、2015年)等。 監訳にマルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)。 編著にMarx-Engels-Gesamtausgabe, IV. Abteilung Band 18, De Gruyter, 2019.  2018年、ドイッチャー記念賞を受賞。

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