ゾッキ本 再公営化という選択:世界の民営化の失敗から学ぶのレビュー

ゾッキ本 再公営化という選択:世界の民営化の失敗から学ぶ
ゾッキ本 再公営化という選択:世界の民営化の失敗から学ぶ

正直、読みやすくはない。左開きの横書き、字は小さいし、註は、ほぼ英文で、付録としてついている世界の再公営化リスト・国有化リストも欧文のみ。校正も微妙だし、変なところで改行されていたりする。ただ、とても大切なことが書かれている。 ツイッターで知ったのだが、選挙特番で「水道の民営化」に触れたものがあったらしい。本書は、水道だけではなく、電力、ごみ収集、交通、学校給食、公的施設の維持管理、清掃など、一度は民営化されたものの、様々な問題によって、自治体およびその住民たちによって再公営化(国営を含む)された事例、その過程での問題点などに触れられている。 民営化、と聞いて、料金が安くなり、サービスが向上する、というイメージを抱く人は多いだろう。しかし、世界的に見れば、不採算地域の切り捨てや価格が上昇したケース、競争入札のため入札価格が低く設定されるため、サービスの低下、その企業で働く労働者へのしわ寄せなども起きている。 そのために再公営化に踏み切ったわけだが、公営というと“赤字”とイメージづけられているものの、実際は赤字事業を黒字化したケースもあれば、長時間労働をやめることで雇用を生み出したケースもある。 ただ、再公営化にも壁があり、第3章に詳しい。簡単に書いてしまうと、民営事業を手掛けた投資家・企業を保護すためにある紛争調停(ISDS)によって、多額の賠償金が課せられるケースだ。これは日本も参加しているTPPとも絡んでくることを忘れてはいけない。 日本でも民営化された事業はあるが、本当にその後は“バラ色”だったのか? 水道民営化がもたらすリスクは、どれほどの大きさなのか?  民営化だけが世界のトレンドとする論調は、眉に唾を付けて聞いた方がいいだろう。

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大寺萌音さん