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残らなかったものを想起する──「あの日」の災害アーカイブ論

2,420円

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残らなかったものを想起する──「あの日」の災害アーカイブ論 高森順子 編 ISBN:978-4-909237-92-7 【災害のあった「あの日」を、あなたはどう伝えますか?】 能登半島地震、東日本大震災、阪神・淡路大震災、御嶽山噴火…… 巨大災害が頻発するこの国では、防災、減災、命の大切さといった「残すべき目的」を掲げた「アーカイブ」が作られ続けています。 しかし、そこで残すべきとされるものは、ほんのひと握りでしかありません。 私たちはもっと豊かなものを、もっと多様な手法で、留めたり、取り戻したりすることができるのではないでしょうか。 本書では、現場の偶然性をとりこみながら「残らなかったもの」への想起の回路を開こうとするユニークな15のメディア実践を紹介。 あなたにとっての「災害」、そして「アーカイブ」のイメージを大きく変える実践がここにあります。 語り 復元模型 被災写真 報道写真 育児日記 絵画 手記集 朗読 展覧会 記念式典 災害遺構 文化施設 映像 美術館 演劇 etc…… 災害は私たちからすべてを奪うわけではない。被災地に目を凝らせば、「あの日」以前に確かにあったものの痕跡がある。災害によって大きく変化した世界で、「残らなかったもの」の痕跡としての「残ったもの」は、過去と地続きのものとして人々を引き寄せ、かつてを辿るための寄す処となる。「残ったもの」に引き寄せられた人々は、自らの意志でもって「あの日」を境に失われたものを想像しようと手探りするだろう。一方、「残ったもの」を目の前にして、「残らなかったもの」の不在の重みに怯み、逡巡し、想起への回路を閉ざしてしまう人々もいるだろう。被災地の「残ったもの」をめぐる現場には、想起という行為を惹起しつつ、同時に、抑圧するという、いわば想起の「引力」と「斥力」がはたらいている。 本書のねらいは、このような想起をめぐる「引力」と「斥力」のはたらく場において、そこに何らかのアクションを起こしたり、アクションが起きた現場をつぶさに見つめてきた執筆陣を集め、彼らが取り扱うアクションをまずもって「災害アーカイブ」として見立てることで、現場に根差した災害アーカイブ論の出発点をつくることである。じっさい、本書の執筆陣のなかには、結果的に、アクションが予期せぬかたちで「災害アーカイブ」として機能したと考察する者や、アクションを「災害アーカイブ」として捉え直すことで、その特異性に普遍的な知を見出した者もいる。言い換えれば、本書は、想起をめぐるアクションを「語り」、「写真」、「絵画」などのメディアごとにまずは並べてみることで、「残ったもの」から「残らなかったもの」を想起するという「災害アーカイブ」のねじれた営みをパフォーマティブに検討する企図のもとにつくられた。 (「はじめに」より) ▼「おわりに」を公開中! https://note.com/horipub/n/nd3c4d466a9a0 【目 次】 ●はじめに 実践知としての災害アーカイブ 高森順子 【第Ⅰ部】 「あの⽇」以前の暮らしへの回路を創造する ●第1章 語り ──被災の「前」について語ること ⽮守克也・杉山高志 ●第2章 復元模型 ──「あの日」より前の風景、街並み、そこでの記憶を復元する 磯村和樹・槻橋 修 ●第3章 被災写真 ──予期せぬアーカイブとしての 溝口佑爾 ●column 01 「わたし」を主語にする──育児日記の再読をとおした震災経験の継承の試み 松本 篤 【第Ⅱ部】 「あの⽇」への想起のダイナミクス─モノを創造する ●第4章 報道写真 ──御嶽山噴火の新聞報道にみる記録のポリフォニー 林田 新 ●第5章 絵画 ──関東大震災における美術家の表現活動 武居利史 ●第6章 手記集 ──「読む」まえに「ある」ものとして 高森順子 ●column 02 応答のアーカイブ─東日本大震災から「10年目の手記」 佐藤李青 ●column 03 展覧会というメディアの可能性(1)─「3・11とアーティスト:進行形の記録」 竹久 侑 【第Ⅲ部】 「あの⽇」への想起のダイナミクス──場を創造する ●第7章 記念式典 ──災害を社会はいかに記憶するか 福田 雄 ●第8章 災害遺構 ──何を残し、何を伝えるのか 林 勲男 ●第9章 文化施設 ──わすれン!アンダーグラウンド──「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の活動に見る映像メディアの実践と倫理 ⾨林岳史 ●第10章 映像 ──断片をつなぎあわせて透かし見る 青山太郎 ●column 04 展覧会というメディアの可能性(2)──「3・11とアーティスト:10年目の想像」 竹久 侑 ●column 05 12章「カタストロフィの演劇体験」への手引き 富田大介 【第Ⅳ部】 未災者との回路を創造する──実践と研究の「あわい」から ●第11章 美術館 ──人の心を動かす主観的記憶の展示 ⼭内宏泰 ●第12章 演劇 ──カタストロフィの演劇体験──「『RADIO AM神戸69時間震災報道の記録』リーディング上演」省察 富田大介 ●おわりに 高森順子 【制作】 ブックデザイン 成原亜美(成原デザイン事務所) 装画 五月女哲平 “Two doors, two windows” Acrylic on canvas, 130 x 162 cm, 2010 撮影 Kei Okano 印刷・製本  中央精版印刷株式会社

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